6月11日(日)ジャン=マルク・ルイサダ ピアノ・リサイタル

公開日 2017年06月11日(Sun)

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 6月11日(日)早朝から大雨です。特に行事のないこの日,カメラマンは久しぶりにみやまコンセールへ行ってきました。肝付の自宅を出るとき,老犬が恨めしそうに視線を送ります。雨の日は散歩に連れて行ってもらえないことを知っているのでしょう。晴れていたらすぐに縁側の下から飛び出してくるのに,この日は横になったまますっかりふさぎ込んでいます。老犬に手を振りながら,ジャン=マルク・ルイサダのピアノ・リサイタルに向かいました。このピアニスト,世界的に有名な一流ピアニストですが,おまけに多分フランス人なのに,見た目がお茶目なために随分損をしているように思われます。お堅いクラシック音楽の世界では,やはりどこか神秘的で巨匠然としている方がありがたがられるものです。見た目は親しみやすいのですが,このピアニスト,間違いなく一級品です。10年ほど前にいやもっと前か,ショパン・コンクールで上位入賞して当時話題になった人ですが,以来CDも何枚か出し,カメラマンの部屋にも5枚ほどルイサダのCDがあります。しかしながら,正直,これまでルイサダの余り熱心な聴き手ではありませんでした。でも,ルイサダが鹿児島まで来るというので,この数日間はルイサダを聴き続けました。みやまコンセールまでの2時間足らずも,ルイサダのショパンを聴きながら,車を走らせました。知に働いて角が立つタイプの冷たい演奏では無論ありませんし,かと言って一昔前の情に棹差して流されるような思い入れたっぷりというのでもありません。適度に知的ではあるけれども,実にスタイリッシュで颯爽とした演奏です。みやまコンセールでの演奏会は,オール・ショパン・プログラムです。夜想曲第2番変ホ長調op. 9-2,ショパンの代表曲の一つですが,この作品で演奏会は始まったのですが,どこか居心地が良くありません。人見知りが激しいために,知らない人が大勢いるコンサートホールはいつも苦手ではあるのですが,この日は別の理由があったようです。ピアノの音が今一つなのです。ホールの残響が多すぎるのかもしれません。ピアノの調律が不十分なのでしょうか。静かなスロー・テンポのところはそれほど気にはなりませんが,フォルテで音符が多くなると途端に音が籠ります。座席はそんなに悪くはなかったはずですが・・・。20分間の休憩中もピアノの調律が行われています。後半は多少聞きやすくなったのか,こちらの耳が慣れたのか,それほど気にならなくはなりましたが,やはり音符が増えると粒立ちが今一つです。休憩中調律をしていた譜捲りの男性にルイサダはしきりに声をかけます。にこやかな様子ではありますが,少々気になります。オール・ショパン・プログラムの後のアンコールには驚かされました。モーツァルトの珍しい小さなアダージョをクッションにして,最後に何とベートーヴェンのピアノ・ソナタ第28番をまるまる1曲20分程度,しかも3つの楽章を休憩なしに連続して演奏してしまったのです。アンコールで,間に休憩を入れると拍手されるからでしょうが,そこまでしてベートーヴェンを入れたかったのか・・・。演奏もルイサダの意外な面を見せてくれました。おどけたルイサダがここでは般若または鬼神と化していたのです。個人的にはこのベートーヴェンが一番印象に残りました。残響はやはり気になりましたが・・・。みやまコンセールはピアノ向きではないのか・・・。この演奏会には事務室の富満さんも一人で来ておられました。こちらは専門家です。ホールの外に出ると,すっかり雨は上がり日が差しています。午後4時30分。牧之原までは1時間なのですが,予定を変更して再び肝付へ戻ることにしました。老犬を散歩に連れて行かなきゃ・・・。

 「老犬コロの繰り言その11」。こんなに長く続くことになろうとは思いもしませんでした。そろそろネタが尽きかけています・・・。所詮犬の頭の中ですから・・・。(^_^;)
 
老犬コロの繰り言その11
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 つい最近のことじゃった。わしにとって大変恐ろしいことが起きたのじゃ。旦那が散歩に行くと言うので,わしは大いに喜んだのじゃ。例によって,何度も旦那と門の間を大騒ぎしながら行ったり来たりした。そして,何回目かに旦那の側に寄ると,旦那がいつものようにリードにつないでくれた。いや,そう思ったのじゃ。わしは大はしゃぎで,旦那より先に駆け出した。本当は「視察」なのじゃが,旦那の「散歩」という言葉が好きでたまらないのじゃ。近頃少々耳は遠くなったのじゃが,「散歩」という言葉はどうにか分かる。わしは夢中で走ったのじゃ。しかし,そのうち何かいつもと違うということに気付いた。いつもよりリードが軽いのじゃ。軽すぎるのじゃ。旦那の忌々しいコントロールがないのじゃ。嫌な予感がした。それでも,わしは後ろを振り返らずに,多分いつもの道を歩き続けたのじゃ。正直,どこをどう歩いたのか覚えておらん。おそらく,わしは全てを理解していたのじゃ。しかし,認めたくはなかった。夢中で歩いたのじゃ。絶対に後ろは振り返らなかった。途中車にもあったのじゃろうが,一切記憶にはない。そのうち,いつもの木々が鬱蒼と茂った,家まで200メートルほどの道に入った。ふと,前方を見ると,人影がある。わしの方をじっと見ておる。わしは立ちすくんだ。しばらく睨めっこが続いた。すると,相手の男はリードを手に持ち,微笑んでおる。いよいよわしは事態を飲み込めてきた。全てが明らかになった。嫌な予感が的中したのじゃ。わしは旦那なしで,一人で散歩いや視察をしてきたのじゃ。わしはもう頭の中が真っ白になった。旦那が手を差し伸べていたが,わしは一目散に駆けだし,旦那の側を通り過ぎて行った。門に入った坂道で歩いてきた旦那に追いつかれたのじゃが,わしは認めたくなかった。わしはずっと旦那と一緒じゃったと思いたかった・・・。

 お前も耄碌したな。本当に気付かなかったのか。リードを付けようとしたら,勝手に走り出したんだぞ。旦那は縁側に着いても笑っていやがる。一人で行けたじゃないか,とまで言う。いいか,犬の放し飼いは違法じゃぞ。散歩中はきちんとリードにつないでおかないといけないのじゃ。どこの世界に犬を一人で散歩させる奴がおる!わしはしばらく気が収まらなかった。しばらく旦那とは目を合わせないようにしていたのじゃ。本当に呆れた野郎がいたもんじゃ・・・。

 この続きはまたの機会に・・・。じゃ・・・。