公開日 2017年12月01日(Fri)
12月1日(金)2学期期末考査4日目,昨日とはうって変わって好天となりました。来客用駐車場前の銀杏の木が盛んに散り始めました。黄金色の葉っぱが鮮やかで,秋から冬への交替の真っ最中であることを伺わせます。立冬はとっくに過ぎて,ついに12月を迎えました。最早完全に冬と言ってもいいのかも知れません。これから少しずつ冬の寒さが厳しくなっていくのだろうと思われます。
久しぶりに,ヒロノブに声を掛けてみました。彼は(彼女は?)相変わらず職員室前の廊下の窓の外でお城を築いています。いつの間にか張り巡らした蜘蛛の巣が立体的になってきています。突然窓を開けると,少々どぎまぎした様子で,ゆっくりと脚を動かします。8本もある脚の1つだけを器用に動かします。多分彼の腕なのでしょう。威嚇しているつもりかも知れません。表情は全く変化は見られず,と言うより顔を確認するのも困難なのですが,目鼻に動きはありません。鼻!?・・・。とにもかくにも,寒さに耐えながら,必死に我が城を守っています・・・。
3時間目の体育の試験が終わると,防火防災訓練が始まりました。いつものように(?),火災は調理室から発生し,緊急放送とともに生徒たちは教室の窓を閉めて避難を開始します。比較的順調にテニスコートへの避難が終わると,今度は消火訓練の開始です。職員代表として,係でもある国語科の宮野先生と商業科の恒松先生が見事に火元消化に成功されました。続いて,各クラス代表が1人ずつ計6名が,3年生から順番に消防隊員の方々の指示に従いながらしっかりと火を消し止めてくれました。本日の避難訓練と消火訓練で学んだことを,福高生たちは,これからの学校生活,そして人生においても生かしてくれると思われます。霧島市消防局牧之原分遣所の皆さん,そして消化器の手配をしてくださった業者の皆さん,本日はどうもありがとうございました。
午後からは,視聴覚室で2学年PTAが行われました。修学旅行を来月,そう,もう来月なのです!,に控えて,旅行業者の方にもおいでいただき,生徒,保護者双方に旅行行程や保険,キャンセル料等に関わる説明を行いました。高校3年間で一番思い出に残る行事ですが,それだけに費用もかかり,準備も大変です。保護者の皆様のご理解とご協力なくして,実施不可能な行事です。1時間程度全体会を開いた後,それぞれのクラスで個別相談も行われたようです。インフルエンザに気をつけて,全員元気に修学旅行に参加できればいいと思われます。修学旅行は1月23日(火)から4日間,関西方面へ行きます。
この日は,夕方から久しぶりにコンサートへ出かけました。ある方からフランツ・バルトロメイのチェロ演奏会のペア・チケットをいただいたのです。ところが,突然家人が体調を崩して,コンサートに行けなくなり,チケットが1枚余ってしまいました。せっかくいただいたチケットなのにと思って,演奏会が鹿児島市内で行われるので,しかも本日ということなので,鹿児島市内の知人を何人かあたりました。やはり突然のことなので,なかなか都合のつく人はいません。すると,職員室内で福山高校の空前絶後のジャスティス先生こと德丸先生と目が合いました。德丸先生はこのような高尚な(?)趣味はないだろうなとダメ元で誘ってみると,「僕でいいんですか。」と予想外に快諾してきました。内心チケットが無駄にならなくて済むと大変嬉しく思ったのですが,ちょっと強がって「先生は1位指名じゃないからね。外れ5位くらいだからね。」と大人げないことを言うと,素直な德丸先生は「それでもいいですよ。」と喜んでいます。いい人です。
夕方勤務時間終了の時刻16:45ほぼちょうどに通勤ラッシュを恐れて早めに19:00からの演奏会のために鹿児島へ向かいました。余裕で間に合うかと思いきや予想以上の交通渋滞でなかなか会場の県民交流センターに到着しません。終いにはトイレに行きたくなり,演奏会よりもコンビニエンス・ストア探しに夢中になりました。そうこうするうちに19:00直前に県民交流センターに着いてしまい,駐車場からトイレへ直行しました。演奏会場に着いたことよりも,トイレに間に合ったことに安心していると,なかなかおしっこが出てきません。出始めたかと思うと,今度はおしっこがなかなか止まりません。完全に演奏会1曲目は諦めてしまいました。ところが,ホールに足を踏み入れると,まだ演奏が始まっている様子がありません。しばらくホール内を歩くと,賢くも高速道路を利用して先に着いていた德丸先生の手を振る姿が目に入りました。間に合ったんだ・・・そして,ふと車の時計が数分早くなっていたことに気が付きました。この次から,鹿児島市で夜演奏会がある時は高速道路を使うぞと決意したのでした。
フランツ・バルトロメイは,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の元首席チェロ奏者で,世界的にも著名な演奏家です。悠々自適に自分の好きな音楽だけを気儘に演奏する・・・そのようなイメージがあったのですが,演奏が始まるとすぐに超一流の本格的なチェリストであるということを思い知らされました。前半はバッハの無伴奏チェロ組曲第3番とマレーのスペインのフォリア,こちらもチェロ独奏ですが,どちらも素敵な演奏でした。スペインのフォリアの旋律は古くからスペインに伝わるもののようですが,多くの音楽家たちが触発されて曲を書いています。有名なのはフランスのマレーとイタリアのコレッリでしょうが,20世紀になりロシアのラフマニノフも「コレッリの主題による変奏曲」という名でピアノ曲を書いています。本当は「マレーの主題による」でも良かったのでしょうが・・・。後半に入ると,ピアニストの大迫貴さんが加わり,バルトロメイのチェロがさらに熱を帯びてきたように思われます。大迫さんのピアノに対して,「ほほー,お前さんはそうやるのかい。じゃあわしはこうするぞ。」といった様子で,バルトロメイはさらに自由にというより雄弁にチェロを奏でます。味わい深い,滋味溢れる演奏です。後半1曲目のベートーヴェンの「恋を知る男たちは」の主題による変奏曲ではモーツァルトの「魔笛」の主題の後,7つの変奏を見事に描き分けていきます。2曲目は,おそらくこのコンサートのメイン・プログラムとも言うべき,グリーグのチェロ・ソナタ。バッハ,ベートーヴェンと来たら,ブラームスだろうと最初思ったのですが,このグリーグがさらに見事でした。抒情小曲集を思わせるようなピアノの旋律に乗って,チェロが情熱的な音色を聴かせてくれます。CDで聴くと,冗長に思われる第3楽章も聴き手を飽きさせず,この音楽に終わって欲しくないと思わせてくれるほど鮮やかな演奏でした。これからは,CDを聴くたびにバルトロメイの演奏姿が心に浮かんでくるのだろうと思います。我が家のチェリストはスティーヴン・イッサーリスですけど・・・。最後の「鳥の歌」はスペインのカタルーニャ民謡ですが,美しい中にどこか悲しげな鳥の囀りが聞こえてきます。カザルス縁の作品ですが,先ほどのフォリア同様,スペイン人の明るく陽気なラテン気質の中に悲痛で暗い影が感じられます。イタリアのシチリア島の悲しみに通じるような世界でしょうか・・・。プログラムを見たときに,すぐに気づいたのですが,今回の演奏会は,ドイツ,フランス,(ドイツ),ノルウェー,スペインと続き,EU讃歌といったようなねらいもあったのかも知れません。
アンコールは,バルトロメイの故郷の音楽であったろうと思います。1曲目は多分シュトラウスの「ロマンス」か何かだと思われますが,今一生懸命作品を捜索しています。2曲目のレハール調の甘い恋の語らいはジーチンスキーあたりでしょう。こちらもチェロによる演奏を今捜していますが,我が家のライブラリーには見当たりません。どちらもウィーンの甘い情緒にたっぷり浸させてくれました。バルトロメイの誇らしげでかつ自慢げな演奏が印象的でした。アンコール3曲目(!)はやはりサン⁼サーンスの「白鳥」です。サン⁼サーンスのメロディ・メイカーぶりが遺憾なく発揮された名曲です。バルトロメイの素晴らしいチェロに包まれて,素敵な週末の夜を過ごすことができました。隣の德丸先生もすっかり満足され幸せそうな様子でした。遠藤校長先生,ありがとうございました。