12月1日(土)師走になりました・・・

公開日 2018年12月01日(Sat)

校舎と銀杏
 12月1日(土)師走になりました・・・。師走の「師」は法師,お坊さんのことのようですけど,学校も慌ただしくなります。11月27日から29日まで3日間県外視察に行った進路指導主任の寺尾先生が,30日(金)には進路だよりCG通信11月号ができましたと持ってきました。よく見ると,11月30日発行としっかり書いてあります。寺尾先生によると前日まで3日間訪ねた大学や専門学校についてまとめたのだということです。それを,30日の9時過ぎには持ってきて,10時過ぎにはクラス配付用ボックスに入っています。いつの間に作ったのでしょうか。師走とは言え,正確にはこの時はまだ師走ではなかったけれども,こんなに忙しい教師がいたでしょうか。肝心なのは,中身ですが,各学校の特色がその敷地から学科内容,学費に至るまでしっかりまとめてあります。特に,高校とは異なり,かなり経費もかかるので,進学を志す場合は,希望する学校のオープンキャンパスに必ず参加して,自分の目でしっかり確かめることが大切であるということです。写真もふんだんに取り入れてあり,今回はA4裏表2枚になったということです。ところが,教室配付用はB4裏表1枚にまとめようとしたのだけど,印刷設定ミスでA4裏表1枚になってしまった・・・。寺尾先生らしい・・・。(^_^;) 進路新聞11月(CG通信11月号)[PDF:2MB]
千本イチョウ (8)

 この日は午後からイーヴォ・ポゴレリチの60歳記念リサイタルに行きました。肝付町の自宅からみやまコンセールに向かう途中,垂水の千本イチョウを見ることにしました。垂水市街地から輝北方面へ向かって4キロほどと,それほどアクセスは悪くはないのですが,イチョウの見頃を迎えたとあって,臨時駐車場が1キロほど手前に設けてあるのにまいりました。坂道をてくてく登っていく,千本イチョウを目指して行くのにはちょうどいい距離感かも知れませんが,お年寄りには少々酷でしょうね。こちらはそれほどお年寄りというわけではありませんが,ちょっと立ち寄っただけのつもりが,大変な運動をさせられてしまいました。でも,黄金色のイチョウ林の見事と言ったらそれはそれは大したものです。家族連れを中心に,意外と高齢の方も見に来ておられます。カメラマン同様おじさん一人というのも何人かおられたような気がします。やはりここは半日ぐらいつぶすつもりで,じっくりと見に来なければいけませんね。それにしても,急な斜面の上り下りを含めて何キロ歩いたことでしょう・・・。

みやまコンセール (1)

 みやまコンセールに開演30分前に到着すると,間もなく開場となりました。すると,驚いたことにポゴレリチ本人がステージでピアノに向かっています。ステージ上はライトを点けず,客席だけ明るくしてあり,通常のコンサートとは逆の状態で,ポゴレリチはセーターにジーンズというラフな格好で同じ旋律を何度も何度も繰り返しています。もしかしたら,あの格好で本番にも臨むのかしらと半分期待しながら,ステージ上のポゴレリチに釘付けになっていると,10分前に係員の女性が声を掛けられます。やはり,そうですよね。クラシックのコンサートですから・・・。さすがのポゴレリチも,本番のステージでは格式張った燕尾服(?)姿です。今回ポゴレリチは,モーツァルトのアダージョ ロ短調,リストのピアノ・ソナタ,シューマンの交響的練習曲と一切の妥協をせず直球勝負で来ました。鹿児島に来る一流演奏家は,遠慮して親しみやすい作品を並べることが多いのですが,ポゴレリチは違いました。若い頃のポゴレリチは,思い切り鍵盤を弾き飛ばしたかと思うと,極端にテンポを落とすといったへんてこな演奏をしていたものです。ピアニスト界の反逆児。ところが,数か月前NHKのBSで見た奈良の正暦寺を訪ねたポゴレリチは全く風貌が変わっていました。穏やかな初老の男性に変貌していたのです。かつてのように,思い切り,ヒッピーのように弾き飛ばすことはありません。この日の開演前のステージ上のポゴレリチはその正暦寺のポゴレリチその人でした。燕尾服に正装すると,こちらの視力が悪いせいか,遠目には30年前とそれほど変わりません。

 1曲目のモーツァルトのアダージョで,ポゴレリチは,かつてのクラウディオ・アラウほどではありませんが,予想通りゆったりとしたテンポで聴かせてくれます。ところが,こちらの体調がよくありません。千本イチョウでの疲れがどっと出て睡魔に襲われてしまいます。不覚にも何度もコクリコクリしながら,必死になって耳を傾けるという情けない状態になりました。拍手のないまま,多分演奏家が意図的にその隙を与えずに,2曲目のリストに突入します。おそらくポゴレリチのことですから,30分以上は要するはずです。静かな呟きで始まり,次第に盛り上がっていき,幾多の浮き沈みを経て,静かな呟きが返って来て,華麗に歌った後,静かに閉じる・・・。よくあるパターンではありますが,間違いなく傑作です。多分眠っていたのは一瞬間だと思うのですが,しっかりと聴けなかったのが残念でなりません。若き日のCDでの演奏同様,スローテンポではありましたが,今日のこちらの体力はそれに十分に付いていくことはできませんでした。

 幕間になると早速コーヒーを所望しに行きました。グァテマラ・ブレンド・コーヒー,コーヒー好きには堪らないのかも知れませんが,酸味の苦手なこちらとしてはやや抵抗があります。でも,この日の弱った体力を回復させるためにはこれぐらいの刺激があった方がいいのでしょう。後半のシューマンもポゴレリチはさらにごく若い頃録音しています。ところが,その際には,遺作の部分を全てカットしていたように思います。この日のプログラムには,遺作付全曲演奏とありますので,遺作をどこに持ってくるのか,興味津々で聴き始めました。驚きました。通常の第1曲前奏の前に,遺作を全部持ってきたのです。だから,お馴染みの交響的練習曲の冒頭部分が始まるまで10分ほど待たされることになります。多分このような演奏はまずないでしょう。遺作を先に全部演奏してしまうとは・・・。かつてアンドラ-シュ・シフは通常譜を全部弾いてから,遺作を並べて録音していました。でも,それでは遺作がただの付け足しみたいに聞こえると思ったものです。逆に冒頭に持ってくると,遺作の役割がぐっと大きくなったようです。大多数の演奏では,途中に入れるのが普通ですから,ひっそりと流れるようにさり気なく遺作から始める今回の演奏はインパクト抜群です。途中の強力な打鍵も,穏やかな弱音も大変印象的な演奏でした。グァテマラ・コーヒーの効果は絶大,すっかりポゴレリチのシューマンを堪能しました。ポゴレリチを生で聴いた。忘れられない日になりそうです。

 

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